東北大学大学院医学系研究科の研究グループは、希少難病「バース症候群」のモデル動物や患者由来細胞を用いた実験で、ミトコンドリア機能改善薬「Mitochonic Acid 5(MA-5)」が病態を改善する効果を確認しました

バース症候群とは

バース症候群(Barth Syndrome)は、TAZ遺伝子の変異によって発症する希少な遺伝性疾患です。主に男性に発症し、心筋症、骨格筋障害、好中球減少症、成長遅延などの症状が現れます。現在、根本的な治療法はなく、対症療法が中心となっています

研究のポイント

  • 患者由来細胞・iPS細胞から作成した筋肉細胞にMA-5を投与したところ、ミトコンドリアの機能が改善し、エネルギー産生(ATP産生)が増加、酸化ストレスによる細胞死が抑制されました
  • ショウジョウバエのバース症候群モデルでもMA-5投与により運動機能が向上し、心拍数の異常増加が軽減されました
  • MA-5は、ミトフィリンというタンパク質に結合し、ミトコンドリア内部の「クリステ構造」を改善、ATP合成酵素の働きを助けることで、効率的なエネルギー産生を実現する仕組みです

今後の展望

本研究成果は、バース症候群の新たな治療戦略の開発につながる可能性を示しています。MA-5は、これまで根本治療がなかったバース症候群に対し、ミトコンドリア機能を直接改善する新しい薬剤候補として期待されています

この成果は2025年6月21日付で科学誌「The FASEB Journal」に掲載されました

この研究は、バース症候群患者やご家族、医療関係者にとって大きな希望となる新たな一歩です。

ソースURL: https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2025/07/press20250707-02-Barth.html

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