2024年度診療報酬改定において、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)治療薬「ビヨントラ錠400mg(一般名:アコラミジス塩酸塩)」が新たに保険適用となりました。厚生労働省は2024年5月20日、診療報酬改定の疑義解釈(その26)を公表し、同薬の適用患者要件や診療上の留意点を明確にしています。
ビヨントラ錠の投与には、最新のガイドラインに基づき、トランスサイレチンアミロイドーシスの確定診断が必須とされ、診断・治療に精通した医師による適切な症例選択が求められます。投与開始時には、心不全症状(入院歴または利尿薬治療)、心室中隔厚12mm超、病理検査または骨シンチグラフィによる診断要件など、全ての条件を満たす必要があります。また、TTR遺伝子検査による病的変異の有無もレセプトに記載することが求められます。
NYHA心機能分類III度ではI・II度より有効性が低い可能性があり、IV度での有効性・安全性は確立していません。したがって、初回投与はNYHA分類I~III度の患者が対象となります。これらの基準は、日本循環器学会の最新ガイドラインに準拠しています。
この改定により、ビヨントラ錠の適正使用と患者安全の確保が一層強化されました。