2025年6月24日、アミカス・セラピューティクス株式会社が、遅発型ポンペ病を対象とした新しい併用療法の製造販売承認を取得いたしました。この承認により、これまで限られた治療選択肢しかなかった患者さんとそのご家族にとって、新たな治療の選択肢が広がることになります。
承認された2つの新薬とは
今回承認を取得したのは、ポムビリティ®点滴静注用105mgとオプフォルダ®カプセル65mgという2つの医薬品です。これらは単独で使用するのではなく、併用する治療法となっています。
ポムビリティは、マンノース-6-リン酸を多く含むことで細胞への酵素の取り込みを向上させた遺伝子組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ製剤です。一方、オプフォルダは経口剤として、血中のポムビリティを安定化し、活性を維持させた状態で標的組織への取込みを増加させる役割を担います。
これまでの治療法との違い
日本国内では、これまでポンペ病の治療薬として点滴静注剤が2製剤発売されていましたが、今回の承認により、成人の遅発型ポンペ病に対して経口剤と点滴静注剤による新規併用療法という新たな治療選択肢が加わることになります。
この併用療法の特徴は、2つの薬剤が相互に作用し合うことで、より効果的にポンペ病の症状改善を目指せる点にあります。ポムビリティがポンペ病の筋組織において蓄積するグリコーゲンを減少させる作用を発揮し、オプフォルダがその効果を最大化するサポートを行います。
世界での承認状況と日本への期待
海外では既に実績を積んでおり、ポムビリティが2023年3月、オプフォルダが2023年6月に欧州連合で承認されました。現在では欧州連合の他、英国、米国、スイス、オーストラリア、カナダでも承認されており、世界的に認められた治療法となっています。
アミカス社最高経営責任者兼社長のブラッドリー・キャンベル氏は、「ポムビリティならびにオプフォルダの承認取得は、新しい治療法を必要としている日本のポンペ病患者さんにとって大きな進展です」とコメントしており、患者さんへの思いが込められています。
ポンペ病について知っておきたいこと
ポンペ病は、ライソゾーム内でのグリコーゲン分解に関与する酵素である酸性α-グルコシダーゼをエンコードする遺伝子の突然変異によって引き起こされる稀な常染色体潜性遺伝性疾患です。この酵素の機能障害により、ライソゾーム内にグリコーゲンが蓄積し、筋力、運動及び肺機能が進行性に低下していきます。
世界でのポンペ病の患者数は5千人から1万人と推定されており、まさに希少疾患と呼ばれる病気です。患者さんとそのご家族にとって、新しい治療選択肢の登場は非常に意義深いものとなるでしょう。
今後の展開
薬価基準収載の後、アミカス・セラピューティクス株式会社による自社製造販売が開始される予定です。同社は既にファブリー病の治療薬「ガラフォルド®カプセル123mg」の製造販売実績を持っており、希少疾患治療における豊富な経験を活かして、患者さんに安全で効果的な治療を提供していくことが期待されます。
なお、2020年12月には厚生労働省より希少疾病用医薬品に指定されており、日本における希少疾患治療の重要性が認識されています。
この新しい併用療法の承認は、遅発型ポンペ病と向き合う患者さんとそのご家族にとって、まさに希望の光となることでしょう。医療技術の進歩により、これまで治療が困難だった疾患にも新たな道筋が見えてきています。
参考情報
- アミカス・セラピューティクス株式会社:https://www.amicusrx.jp/
- ポンペ病について詳しくは:https://www.amicusrx.jp/ge/pompe.html
ソースURL: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000149562.html