韓国の浦項工科大学(POSTECH)バイオ未来技術革新研究センター(B-IRC)と、川崎市産業振興財団「ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)」は、2025年5月30日、次世代の細胞・遺伝子治療技術の開発に向けた了解覚書(MOU)を締結しました。
この提携は、両機関が持つ最先端技術を融合し、免疫疾患、がん、中枢神経系疾患など、これまで治療が難しかった疾患への新たな治療法開発を目指すものです。具体的には、生体膜やデリバリーシステム工学の技術と、ナノ薬物デリバリーシステム(Nano-DDS)技術を組み合わせることで、より効果的で副作用の少ない治療法の実現を目指しています。
iCONMは2015年の開所以来、医薬・医療分野の融合研究や産学官連携を推進し、バイオ技術の商業化にも力を入れてきました。今回のMOUをきっかけに、両機関は共同研究や成果発表、国際学術会議やワークショップの開催、研究者の短期・長期交流プログラムなど、実質的な協力を進めていく予定です。
B-IRCのユ・ジュヨン研究センター長は、「両機関の戦略技術が融合すれば、グローバル競争力を持つ次世代治療剤の開発が可能になる。今回の協約が、意味のある研究成果につながり、細胞・遺伝子治療分野の転換点となることを期待している」とコメントしています。
この国際共同研究の背景には、韓国政府が推進する革新研究センター(IRC)プロジェクトがあり、POSTECHは先進バイオ分野で唯一選ばれ、2033年までの10年間にわたり支援を受けています。
最先端のバイオ技術とナノ医療技術が出会い、世界中の患者に新しい希望を届けるための挑戦が、いま始まろうとしています。