武田薬品工業株式会社が、フォン・ヴィレブランド病(VWD)治療薬「ボンベンディ®静注用1300」について、18歳未満の患者さんに対する用法・用量追加に係る製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったことを発表しました。この申請が承認されれば、これまで成人のみに限定されていた画期的な治療薬が小児患者さんにも使用可能となり、より多くの患者さんに貢献できることが期待されます。
フォン・ヴィレブランド病という疾患
フォン・ヴィレブランド病は、止血に重要な役割を果たすフォン・ヴィレブランド因子(VWF)の質的異常又は量的低下・欠損に起因する遺伝性の疾患です。成人患者さんおよび小児患者さんにおいてともに皮下・粘膜の出血症状を主症状とし、出血が止まりにくくなる特徴があります。
患者数と疾患の特徴
VWDは最も患者数が多い遺伝性出血性疾患であると報告されており、日本では血友病Aに次いで2番目に多い遺伝性出血性疾患です。血液凝固異常症全国調査によると、2024年5月31日時点で国内のVWD診断患者数は1,744人(男性:745人、女性:999人)で、年々診断患者数は増加しています。
疾患の重症度
その多数(60-80%)は、VWFが量的に低下している1型で、症状が軽症であるため未診断の患者さんが多くおられます。一方、VWFが完全に欠損しており、重度の出血症状が見られる3型の患者さんは、極めてまれとされています。
世界初の遺伝子組換えVWF製剤「ボンベンディ」
ボンベンディは世界で初めて承認された遺伝子組換えヒトVWF製剤であり、VWD成人患者の出血時治療および管理を適応として、2015年12月に米国で承認を取得しました。現在は、EU、日本を含む30以上の国または地域で承認を取得しています。
日本での承認状況
日本においては、「von Willebrand病患者における出血傾向の抑制」を効能又は効果として2020年3月に承認され、18歳以上の患者さんに対して以下の用途で使用可能です。
- 出血時の止血治療と管理
- 周術期の止血管理
- 出血傾向の抑制のための定期的な投与
今回の申請の根拠
このたびの申請は、主に海外第3相非盲検試験(071102試験、NCT02932618)および海外第3b相継続投与試験(SHP677-304試験、NCT03879135)における18歳未満のVWD患者さんの出血時及び周術期に関する安全性および有効性のデータに基づくものです。
国際的な展開
米国およびEUでも18歳未満のVWD患者さんを対象に適応追加申請中であり、世界的に小児患者への治療選択肢拡大が進められています。
武田薬品の取り組み
武田薬品は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指し、希少疾患を含む主要な疾患領域において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーとして、約80の国と地域で活動しています。
今後の期待
この申請が承認されれば、18歳未満のフォン・ヴィレブランド病患者さんにとって新たな治療選択肢が提供されることになります。世界初の遺伝子組換えVWF製剤という革新的な治療薬が小児患者さんにも使用可能となることで、より多くの患者さんとそのご家族に希望をもたらすことが期待されます。
フォン・ヴィレブランド病を患う小児患者さんとそのご家族にとって、この申請は大きな前進となる重要なニュースといえるでしょう。
ソースURL: https://www.takeda.com/jp/newsroom/local-newsreleases/2025/bombendi-approval-for-under-18/