特発性多中心性キャッスルマン病(iMCD)は、全身のリンパ節腫脹や発熱などを引き起こす原因不明の希少疾患です。その一亜型である「iMCD-TAFRO」は、血小板減少、胸腹水、発熱、骨髄線維症、腎機能障害、臓器腫大など重篤な症状を呈し、しばしば致死的な経過をたどります。しかし、近年まで確立した診断基準や病態の詳細な解明が進んでいませんでした。
岡山大学大学院保健学研究科の研究グループは、病理組織所見と遺伝子発現解析を組み合わせることで、iMCD-TAFROの病態に深く関与する遺伝子群、特に「PI3K-Aktシグナル伝達経路」を同定しました。この成果は、2025年4月23日に医学専門誌「Modern Pathology」電子版で公開されています。PI3K-Aktシグナル経路は細胞の増殖や生存に関わる重要な経路であり、今回の発見はiMCD-TAFROの新たな治療法開発につながると期待されています。
現在、iMCD-TAFROの原因や確立された治療法はなく、今回の遺伝子群の同定が国内外の研究を加速させ、より詳しい病態解明や治療法の開発へとつながることが期待されています。研究者らは「今回の成果が患者さんやご家族の希望となることを願う」とコメントしています。
ソースURL: https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1382.html