高知県南国市の高知大学医学部附属病院で2025年8月1日、県内初となる「完全リモート」でのがん注射治験薬臨床試験が報道陣に公開されました。この画期的な取り組みにより、これまで治験参加のために県外の医療機関まで足を運ぶ必要があった患者さんの負担が大幅に軽減されることになります。

革新的な「完全リモート治験」とは

この新しい仕組みでは、診療をすべてリモートで受けながら、治験薬の投与や必要な検査は高知大学医学部附属病院で受けられるという画期的なシステムが導入されています。

従来の治験では、参加する患者さんは治験を実施する医療機関に直接通院する必要がありました。しかし、今回の取り組みでは

  • 遠隔診療:医師との診察はオンラインで実施
  • 地元での治療:実際の治験薬投与や検査は高知大学医学部附属病院で対応
  • 負担軽減:県外への移動や宿泊の必要がなくなる

全国展開の先駆けとして参加

この取り組みは、愛知県のがんセンターや聖マリアンナ医科大学病院などが始めた国内初の完全リモート治験システムに、高知大学医学部附属病院が参加したものです。2025年4月に県内初のパートナー医療機関として認定され、今回の公開に至りました。

患者さんと医療スタッフの声

参加患者さんの喜びの声

50代の男性患者さんは「(県外の治験実施医療機関へ)行かなくていいのはうれしい。向こうへ行ったら2日がかりになるので、こういう治療方法が増えればいいのかなと思う」と、この新システムへの期待を述べています。

医療スタッフのやりがい

唐岩咲季治験コーディネーターは「高知県は都市部から離れていて普段だったら参加することができない患者さんに対してもサポート・協力できることが治験コーディネーターとしてやりがいを感じる」と語り、地方の患者さんへの支援拡大に対する使命感を示しています。

地方医療の新しい可能性

この取り組みは、地理的な制約により治験参加が困難だった地方の患者さんにとって、大きな希望となります。特に高知県のような地方では、専門的な治療を受けるために県外まで通院することが大きな負担となっていました。

完全リモート治験システムの導入により

  • 治療選択肢の拡大:地方在住でも最新の治験に参加可能
  • 経済的負担の軽減:交通費や宿泊費が不要
  • 身体的負担の軽減:長時間の移動が不要
  • 家族の負担軽減:付き添いの負担も大幅に減少

今後の展望

高知大学医学部附属病院では、今後も患者の負担を軽減し安全な治療の提供に努めていくとしており、この革新的な取り組みが他の疾患や治療法にも応用されることが期待されます。

この完全リモート治験システムの成功は、日本の医療における地域格差解消の新しいモデルケースとなる可能性を秘めており、全国の地方医療機関にとっても重要な先例となることでしょう。

ソースURL: https://news.ntv.co.jp/category/society/rc8cc12681b6e54dc5af207085c6a96011

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