トレムフィア®(グセルクマブ)、潰瘍性大腸炎に初の二重作用IL-23p19阻害薬として発売
2025年5月21日、ヤンセンファーマ株式会社(Johnson & Johnson)は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎治療薬「トレムフィア®点滴静注200mg」および「トレムフィア®皮下注200mgシリンジ」「トレムフィア®皮下注200mgペン」を日本国内で発売しました。トレムフィア®は、潰瘍性大腸炎を適応とした初めてかつ唯一のdual-acting(二重作用)IL-23p19阻害薬であり、従来の治療で効果不十分な患者に新たな治療選択肢を提供します。
トレムフィア®の特徴と臨床試験結果
- dual-acting(二重作用)IL-23p19阻害薬
トレムフィア®は、炎症の鍵となるIL-23のp19サブユニットを阻害するだけでなく、炎症性単球モデルのIL-23産生細胞表面に発現するCD64にも結合し、IL-23を効率的に捕捉します。この二重作用により、炎症抑制効果が高められています。 - 第III相QUASAR試験の成果
既存治療や生物学的製剤、JAK阻害剤で効果不十分または忍容性不良だった中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者を対象に実施されたQUASAR試験では、
・44週時点の臨床的寛解率は45~50%
・1年後の内視鏡的寛解率は34~35%
・92週時点で臨床的寛解が72%、内視鏡的寛解が43%を維持
・44週で内視鏡的改善を達成した患者の84%が92週まで改善を維持
といった持続的な効果が示されました。
用法・用量と薬価
- 用法・用量
導入療法として点滴静注200mgを使用し、導入終了8週後からは皮下注100mgを8週間隔で投与。患者状態に応じて4週間隔で200mg投与も可能です。 - 薬価
・点滴静注200mg:253,045円/瓶
・皮下注200mgペン:339,733円/キット
・皮下注100mgシリンジ:325,040円/筒(既存品目)。
潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜が慢性的に炎症を起こし、びらんや潰瘍を形成する疾患です。症状は血便、下痢、腹痛、体重減少など多岐にわたり、再燃と寛解を繰り返す慢性疾患で、完治は難しいとされています。日本国内の患者数は約22万人と推定されており、うつ病の発症率も高いことが報告されています。
今後の展望
トレムフィア®の潰瘍性大腸炎適応は日本で初めてのdual-acting IL-23p19阻害薬として画期的な進展です。さらに、現在は皮下注製剤による寛解導入療法やクローン病の適応申請も進行中であり、今後も炎症性腸疾患治療の選択肢が広がることが期待されています。
まとめ
トレムフィア®は、潰瘍性大腸炎の治療において初の二重作用IL-23p19阻害薬として、既存治療で効果不十分な患者に対し長期的な寛解維持を可能にする新たな選択肢を提供します。第III相試験で示された持続的な効果と安全性により、多くの患者の生活の質向上に寄与することが期待されています。
ソースURL:https://innovativemedicine.jnj.com/japan/press-release/20250521