原発性胆汁性胆管炎(PBC)に伴う胆汁うっ滞性そう痒症、リネリキシバットが有効性を示す――第III相GLISTEN試験の結果
GSKは2025年5月、第III相GLISTEN試験において、リネリキシバット(IBAT阻害剤)が原発性胆汁性胆管炎(PBC)に伴う胆汁うっ滞性そう痒症(強いかゆみ)を有意に改善したと発表しました。
試験の概要と主要な結果
- 対象と方法
GLISTEN試験は、PBCに伴う中等度から重度の胆汁うっ滞性そう痒症を有する成人患者238人(各群119人)を対象とした、ランダム化二重盲検プラセボ対照第III相国際共同試験です。 - 主要評価項目
24週間の治療期間における月間かゆみスコア(WI-NRS)のベースラインからの変化量で、リネリキシバット群はプラセボ群に比べて統計学的に有意な改善を示しました(群間差 -0.72、95%信頼区間[-1.15, -0.28]、p=0.001)。 - 副次評価項目
治療2週目から有意なかゆみ改善が認められ、その効果は24週間持続しました。また、かゆみに関連する睡眠障害も有意に改善(群間差 -0.53、95%信頼区間[-0.98, -0.07]、p=0.024)しました。 - 臨床的意義のある改善
24週時点で、リネリキシバット群の56%が「かゆみスコア3ポイント以上の減少」を達成し、プラセボ群の43%を上回りました(群間差13%、名目上p=0.043)。
安全性と副作用
リネリキシバットの安全性プロファイルはこれまでの知見と一致し、主な副作用は消化器症状(特に下痢)でしたが、多くは軽度であり、治験薬中止に至ったのはリネリキシバット群で4%、プラセボ群で1%未満でした。
PBCと胆汁うっ滞性そう痒症について
原発性胆汁性胆管炎(PBC)はまれな自己免疫性肝疾患で、胆汁の流れが障害されることで血中胆汁酸が増加し、強いかゆみ(胆汁うっ滞性そう痒症)が生じます。PBC患者の最大90%がさまざまな程度のかゆみを経験し、生活の質や睡眠に深刻な影響を及ぼします。
リネリキシバットの特徴
リネリキシバットは、回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)を阻害し、胆汁酸の再吸収を抑制することで体内の起痒物質を減少させる経口薬です。現在、世界のいずれの国・地域でも承認されていませんが、米国や欧州では希少疾病用医薬品に指定されています。
まとめ
リネリキシバットは、PBCに伴う胆汁うっ滞性そう痒症の症状緩和において、迅速かつ持続的な有効性と良好な安全性を示しました。今後、承認取得と臨床現場での活用が期待されます。