帝人ファーマ株式会社が、副甲状腺機能低下症の治療薬「ヨビパス皮下注168μgペン、294μgペン、420μgペン」(一般名:パロペグテリパラチド)の販売を2025年11月6日より開始しました。本剤は、デンマークのアセンディス・ファーマ社から日本国内における製造販売ライセンスを取得し、2025年8月に厚生労働省より製造販売承認を取得、同年10月に薬価収載されています。

副甲状腺機能低下症と従来の治療課題

副甲状腺機能低下症は、体内のカルシウムとリン酸のバランスを調整する副甲状腺ホルモン(PTH)の不足によって引き起こされる内分泌疾患です。現行の治療では、血中カルシウム濃度を維持するために活性型ビタミンD製剤やカルシウム製剤が使用されていますが、一部の患者さんでは最適な血中カルシウム濃度の維持や症状のコントロールが困難な場合がありました。

また、これらの治療により、高カルシウム血症や高カルシウム尿症、腎石灰化、尿路結石、さらには腎機能障害などを引き起こす可能性もあります。このような現行治療の問題を解決するためには、血中のPTH濃度を生理的範囲で24時間にわたり維持できる新たな治療薬の開発が求められていました。

日本初のPTH補充療法用自己注射製剤

「ヨビパス皮下注ペン」は、アセンディス・ファーマ社が開発したTransCon技術により、副甲状腺機能低下症の患者さんに1日1回皮下投与することで、血中濃度を24時間にわたり生理学的範囲で維持できる日本初の薬剤です。TransCon技術とは、生理活性を持たないキャリアと活性型ホルモンを架橋剤を介して結合させ、不活性体として投与することで、体内で活性型ホルモンがキャリアから徐々に放出され、ホルモンの長時間作用が達成されるアセンディス・ファーマ社独自の技術です。

本剤は日本初の副甲状腺ホルモン補充療法用の自己注射製剤であり、希少疾病用医薬品に指定されています。すでに米国、EU、EEA、および英国において、アセンディス・ファーマ社が本剤を成人の副甲状腺機能低下症治療薬として承認を取得しています。

用法と薬価

通常、成人には、パロペグテリパラチドをPTH(1-34)として1回18μgを開始用量とし、1日1回、皮下注射します。その後、患者さんの血清カルシウム濃度の十分な管理のもとに、1日1回6~60μgの範囲で適宜用量を増減して皮下投与しますが、増量または減量は3μgずつ行います。

薬価は、ヨビパス皮下注168μgペンが1キット571,509円、ヨビパス皮下注294μgペンが1キット584,139円、ヨビパス皮下注420μgペンが1キット596,310円となっています。

帝人ファーマの今後の取り組み

帝人ファーマは、「より支えを必要とする患者、家族、地域社会の課題を解決する会社」となることを長期ビジョンとして掲げ、希少疾患や難病領域への取り組みに注力しています。今後は、在宅医療で培ってきた事業基盤に加え、医薬品と医療機器を組み合わせることで、誰もが住み慣れた自宅で安心して治療を継続できる新たな価値の提供を推進し、患者さんが必要とする治療の普及に貢献することを目指しています。

ソースURL: https://www.teijin-pharma.co.jp/pressrelease/2025/20251106.pdf

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