出血を止める役目を果たす血小板が少なくなる国の指定難病「免疫性血小板減少症」について、自己抗体によって血小板が壊れることが原因であると分かってきたことを受け、病名が変更されました。近年は原因解明の進展とともに新薬が相次いで実用化されており、治療選択肢が広がっています。
「免疫性血小板減少症」とはどのような疾患か
免疫性血小板減少症(ITP)は、以前は「特発性血小板減少性紫斑病(ITP)」と呼ばれていた疾患です。「特発性(原因不明)」とされていたものが、研究の進展により自己免疫反応によって血小板が破壊されるメカニズムが解明されてきたことで、病名が「免疫性血小板減少症」へと変更されました。
血小板は出血を止めるために不可欠な血液成分であり、血小板が減少すると皮膚への出血(紫斑)、歯肉出血、鼻血、重症例では脳出血など命に関わる出血が生じるリスクがあります。国の指定難病に指定されており、重症度によっては医療費助成の対象となっています。
原因解明が促した新薬開発
自己免疫が原因であると解明されたことで、これまでの対症療法的な治療(ステロイド・脾臓摘出)に加え、免疫機序に基づいた新しい治療薬の開発が加速しました。近年実用化された主な新薬は、トロンボポエチン受容体作動薬(TPO受容体作動薬)など、血小板の産生を促す薬剤や免疫反応を制御する薬剤です。これらの新薬は、従来治療に効果が不十分だった患者さんにも選択肢を提供しています。
難病治療における病名変更の意義
今回のように「原因不明」から「原因解明」へと研究が進み、それに伴って病名が変更されるケースは、難病の分野では重要な意義を持ちます。病名の変更は単なる名称の問題ではなく、疾患の正しい理解の促進、診断精度の向上、そして原因に基づいた治療薬開発への道筋を示すものです。
約7,000種類以上存在するとされる希少難病の中でも、今後さらなる原因解明と新薬開発が進むことが、難病患者さんの生活の質(QOL)向上につながるとされており、免疫性血小板減少症の事例は「難病医療の前進」を示す好事例となっています。







