日本新薬株式会社が茨城県つくば市にある東部創薬研究所の大規模拡充を決定し、茨城県企業立地促進補助金の認定を受けました。この取り組みにより、難病や希少疾患の治療薬開発がさらに加速されることが期待されています。
20億円の大型投資で研究機能を強化
日本新薬は約20億円の事業費を投じて、つくば市桜三丁目にある東部創薬研究所の施設を拡充します。茨城県からは約1億1000万円の補助金が交付される予定で、これは同県の企業立地促進補助金制度における27件目の認定事業となります。
核酸医薬品開発の最前線基地として
東部創薬研究所は1997年に設立され、特に難病「筋ジストロフィー」の治療薬研究で大きな成果を上げています。同研究所の最大の成果は、2020年に発売された国産初の核酸医薬品「ビルテプソ」で、これは筋ジストロフィーのデュシェンヌ型治療薬として日本だけでなく米国でも承認されています。
核酸医薬品とは
核酸医薬品は、遺伝子情報をつかさどる物質「核酸」を用いた医薬品で、従来の医薬品では治療が困難だった病気の原因にも直接アプローチできる次世代の治療手段として注目されています。
茨城県の企業誘致戦略の成果
茨城県は2018年度に県企業立地促進補助金を創設し、持続的な発展と若者が望む魅力的な雇用創出を目指しています。この制度は全国トップレベルの補助制度として位置づけられており、成長産業の本社や研究所の誘致に活用されています。
認定式での関係者コメント
大井川和彦茨城県知事は「世界の核酸医薬をリードする企業として大きく発展してほしい」とエールを送りました。
中井亨日本新薬社長は「患者に薬を届けるのに加え、継続的な投資で県の発展にも貢献したい」と意気込みを語り、「東部創薬研究所が当社の強みを最大限に引き出す場所。環境を整備し、将来的には研究員の体制も強化していく」と述べました。
新施設で実現する先端研究機能
今回の拡充により、以下の研究機能が強化されます。
- 動物実験用設備の充実
- 核酸医薬品研究設備の拡充
- 遺伝子治療研究設備の強化
- 組み換え遺伝子の外部流出防止のための空調設備整備
地域経済への波及効果も期待
この投資により、つくば市を中心とした茨城県内での高度人材の雇用創出と研究開発拠点の集積が進むことが期待されています。日本新薬は1919年創立の老舗医薬品メーカーで、2024年度には売上・各段階利益ともに過去最高を更新するなど順調な事業展開を続けており、今回の投資も同社の成長戦略の重要な一環となっています。
難病患者さんへの新たな治療選択肢の提供と、地域経済の発展という両面で大きな意義を持つこのプロジェクトの成果が注目されますね。
ソースURL: https://www.yomiuri.co.jp/local/ibaraki/news/20250826-OYTNT50018/