武田薬品工業株式会社は、アラジール症候群(ALGS)および進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)に伴う胆汁うっ滞性そう痒(激しいかゆみ)の治療薬「リブマーリⓇ内用液10mg/mL(一般名:マラリキシバット塩化物)」の発売を開始したと発表しました。これにより、これまで治療選択肢が限られていた希少疾患患者さんの治療の選択が広がりました。
対象となる病気
アラジール症候群(ALGS)
- 特徴:まれな遺伝性疾患で、胆汁うっ滞により進行性の肝機能障害を引き起こす
- 症状:黄疸、黄色腫、激しいかゆみなど
- 患者数:日本で約200~300人と推定
進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)
- 特徴:肝細胞が胆汁を分泌できず、進行性の肝疾患に至るまれな遺伝性疾患
- 症状:重度のかゆみ、黄疸、成長障害、肝機能低下など
- 患者数:国内の新規登録例は年間2~8例程度
どちらも「小児慢性特定疾病」や「指定難病」に指定されています。
リブマーリの特徴
日本初の治療薬
リブマーリは、ALGSおよびPFICに伴う激しいかゆみに対して日本で初めて承認された治療薬です。
作用機序
経口投与できる回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害薬で、胆汁酸の再吸収を抑えることでかゆみを軽減します。
国際的な実績
米国や欧州など、ALGSでは40カ国以上、PFICでは30カ国以上で承認されています。また、日本では希少疾病用医薬品に指定されています。
臨床試験と承認
日本や海外で行われた臨床第3相試験の良好な結果に基づき、2024年6月に承認申請、2025年3月に承認を取得しました。
患者さんへの期待
ALGSやPFICは乳幼児期に診断されることが多く、激しいかゆみによる夜間の不眠や生活の質(QOL)の低下が大きな問題となっています。リブマーリの発売により、患者さんとそのご家族の負担軽減が期待されます。