モルミルは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を起点に、難病治療薬の開発プロジェクトを生み出そうとしている創薬スタートアップです。研究者同士や臨床現場、製薬企業のニーズをつなぎ、これまで難しかった創薬の探索段階を前に進める取り組みが特徴です。

難病創薬が難しい理由

国の指定難病は約350種類あり、その中には患者数が少なく、市場規模の面から製薬企業が研究開発に踏み出しにくい病気が多くあります。薬をつくるには、まず治療対象となる分子の形や働きを理解する必要がありますが、従来は候補物質とタンパク質の結びつきや作用を十分に見られず、手探りで候補を試す場面が多くありました。モルミルは、この創薬の構造的な難しさに対して、分子の“動き”を可視化する技術で挑んでいます。

ALSと相分離への着目

モルミルが最初に取り組むのはALSの治療薬開発です。記事では、細胞内でタンパク質が液滴状に集まる「相分離」という現象が、ALSなどの神経難病の発症に深く関わることが分かってきていると説明されています。また、モルミルの公式情報では、ALSを対象としたスクリーニング系をすでに立ち上げ、実用性の検証を進めていることが示されています。

研究者をつなぐ「TEAmir」

モルミルのもう一つの特徴は、研究者をつなぐ仕組みです。奈良県立医科大学を拠点に、全国の研究機関から十数人の大学教授や研究員が科学顧問として参画し、生物学、物理学、医学などの知見を持ち寄っています。同社はこの分野横断型の体制を「TEAmir」と呼び、課題ごとに最適な創薬チームを組むアプローチを取っています。

創薬の進め方

モルミルでは、CEOの森英一朗氏とCTOの富松望氏が、臨床現場と製薬会社のニーズを聞き取り、その内容をもとに創薬プロジェクトを設計しています。そのうえで、関連分野に知見のある科学顧問に参加を打診し、研究成果を開発パイプラインに統合して、同社主導で共同開発を進めます。一定段階に到達した時点で、製薬企業との共同開発やライセンスを通じて事業化を進める方針です。

すでに見え始めた成果

2025年10月に科学顧問チームがALSの原因を抑制する因子を発見したと紹介されています。さらに、モルミルの公式情報でも、ALSの原因因子とされるTDP-43を標的としたヒット化合物の取得に成功したことが示されており、分子動態に着目した創薬の有効性が具体的に示されています。

今後の展望

モルミルは、まずALSの治療薬開発を進め、2030年前後の臨床試験開始を目安にしています。本文では市場規模をグローバルで数百億円から1000億円と見込んでいることも示されています。さらに、今後はALSだけでなく、アルツハイマー病、心疾患、がんなど幅広い疾患領域への展開も視野に入れていることが、関連情報から確認できます。

モルミルが目指しているのは、単一の薬をつくることだけではありません。全国の研究シーズを把握し、必要な知を適切なタイミングで組み合わせることで、創薬プロセスの足りない部分を埋める役割を担おうとしています。

ソースURL: https://forbesjapan.com/articles/detail/94883?module=toppage_1st_02

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