360度カメラを手がけるInsta360が、難病ALSで闘病する元プロダンサーの「もう一度踊りたい」という夢を、360度カメラとVR技術で実現するプロジェクト動画を2025年11月にYouTubeで公開しました。このプロジェクトは、身体の制約を技術で取り払う医療や福祉分野での新しい活用事例として注目されています。
ALS患者の元プロダンサーが抱いた想い
動画に登場する葛敏(グォ・ミン)氏は、20年以上にわたり国内外で活躍した中国の元プロダンサーです。しかし9年前に難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)に罹患し、身体を動かすことができなくなってしまいました。それでも「踊る感覚を忘れたくない」とリハビリを続けています。
ALSは脳と脊髄の運動神経が次第に失われ、筋肉が動かなくなる病気で、葛敏さんは身体的な制約を抱えながらも、ダンサーとしての感覚を保ちたいという強い想いを持ち続けていました。
360度カメラで実現したVR体験
葛敏さんの願いをかなえるため、Insta360がVR再現プロジェクトを始動しました。Insta360の8K対応360度カメラ「Insta360 X4」をダンサーの頭部に装着して撮影し、まるで自分が躍っているかのようなVR映像を作成しています。
ダンスの衣装を身に着けた葛敏さんにVRゴーグルを装着して映像を見てもらうと、「まるで再び舞台に立っているよう」と喜んでくれました。この技術により、身体を動かせなくても、視覚を通じて踊る感覚を体験することが可能になりました。
医療・福祉分野での広がる活用事例
Insta360の360度カメラとVRを活用した事例は、このプロジェクト以外にも医療・福祉分野で進められています。執刀医の視点から手術をリアルタイムで体験できる教育用での活用や、国内外の観光地や故郷のVR動画で500名以上の高齢者に擬似旅行体験をしてもらう活用がすでに実現しています。
さらに、360度カメラ以外にも、ジンバル搭載のWebカメラ「Insta360 Link 2」をALS患者の目として活用する取り組みも進められています。これらの技術は、身体的な制約を抱える方々に新しい体験や可能性を提供する手段として、今後ますます注目されていくことが期待されます。











