沖縄県宮古島市が2025年4月1日から、島外での医療を必要とする患者さんとそのご家族の経済的負担を大幅に軽減する制度改正を実施しました。この取り組みは、離島という地理的制約により本土での治療を余儀なくされる患者さんたちにとって、まさに待望の支援拡充といえるでしょう。
制度拡充の具体的内容
指定難病・小児慢性疾患の助成回数増加
これまで年度6回だった助成回数が年度8回に拡充されました。対象となるのは以下の疾患です
- がん・難治性てんかん
- 指定難病・特定疾患
- 小児慢性特定疾患
不妊治療・妊産婦健診が回数無制限に
特に大きな変更として、不妊治療や妊産婦健診等については回数無制限となりました。これまでは細かく上限が設けられており、不妊治療は夫婦合わせて10回、不育症検査や治療は2回、妊産婦健診は3回という制限がありましたが、今回の改正でこれらの制限が完全に撤廃されています。
助成対象者と条件
対象者
- 患者本人
- 付添のために同行する人(1人のみ対象)
付添人の要件
付添人が助成対象となるのは、患者本人が以下の条件に該当する場合です:
- 未成年者(18歳以下)
- 要介護者または要支援者(介護保険証を添付)
助成金額の詳細
航空運賃
- 1人1往復あたり上限額:13,000円
- 片道あたり:6,500円
宿泊費
- 1人1泊あたりの上限額:8,000円
なお、航空運賃・宿泊費ともに上限額に満たない場合は、実際にかかった運賃や費用が助成されます1。
不妊治療の特別規定
不妊治療については、宿泊費が1往復2泊まで対象となる特別な配慮がなされています。
制度の背景と市長のメッセージ
宮古島市では2013年から「難病患者等渡航費助成事業」を実施してきました。この事業は、島外での治療や入院を余儀なくされている難病患者等の渡航に伴う経済的負担を軽減することを目的としています。
6月6日の定例会見で発表した嘉数登市長は、「拡充により市民の皆さんの経済的負担を軽減し、安心して治療に専念していただける」と述べ、患者さんとそのご家族への配慮を強調しました。
申請方法と注意点
申請期限
医療を受けた日から6カ月以内に申請する必要があります1。
申請先・問い合わせ
- 宮古島市健康増進課
対象者の方は必要書類を整えて申請することが呼びかけられています。
離島医療における画期的な取り組み
この制度拡充は、離島という地理的制約を抱える地域における医療アクセスの改善に向けた重要な一歩です。特に慢性疾患や不妊治療など、継続的な医療が必要な患者さんにとって、経済的負担の軽減は治療継続の大きな支えとなるでしょう。
宮古島市のこの取り組みは、他の離島自治体にとっても参考となる先進的な事例として注目されています。患者さんとそのご家族が安心して必要な医療を受けられる環境づくりに向けた、自治体の積極的な姿勢が評価されています。