東京都が2026年4月3日、難病患者を対象とした職員採用選考の実施を正式に発表しました。障害者総合支援法の対象疾病に加え、東京都の難病医療費等助成の対象となる難病患者も採用対象とした選考で、採用枠は5名です。法改正を待たずに難病者の雇用を進める画期的な取り組みとして注目されています。
発表の背景と経緯
2026年2月の東京都議会において、小池百合子都知事が施政方針演説で「障がい者のうち就労に困難を抱える難病の方にも採用選考の対象を広げ、障がい者雇用を一層進める」と表明していました。これを受け、4月3日に具体的な採用選考の実施が正式発表されました。
厚生労働省では現在、障害者手帳を持たない難病患者について個別の就労困難性を判定する基準を作り、法定雇用率に算定できるよう2027年の法改正を目指して検討中です。東京都の今回の決定は、この国の法改正を待たずに先行実施するもので、全国の自治体に先駆けた動きとして大きな意義があります。
採用選考の対象と内容
今回の採用選考の対象は以下の通りです。
- ① 障害者総合支援法の対象疾病(難病)を抱える方
- ② 東京都が独自に指定する難病医療費等助成の対象となる難病を抱える方
採用枠は5名で、正規の事務職員として採用されます。
全国に広がる難病患者の公的雇用の動き
東京都の取り組みは孤立したものではなく、全国的な潮流の一部です。
- 2024年:山梨県が障害者枠とは別に難病患者枠の採用試験を実施し、3名が入庁
- 2025年:千葉県も難病患者区分の募集を開始し、3名枠に135名が応募し4名採用が決定
- 2025年〜:東京都港区が難病患者就労体験職員(週1日1時間から勤務可能)の採用を開始
こうした動きは、「RDワーカー(Rare Disease Worker/難病とともに働く・働きたい人)」という概念とともに、全国に広まりつつあります。
難病患者の就労における課題と意義
難病患者は、症状の日内変動・通院の必要性・疲労しやすさなど、就労継続に影響を与える特有の困難を抱えながらも、障害者手帳を持たないために障害者雇用の対象外となるケースが多くありました。今回の東京都の取り組みは、こうした「制度の狭間」に置かれてきた難病患者に公的就労の場を開く先進的な施策として、患者団体からも強い期待が寄せられています。難病患者が能力を発揮しながら社会参加できる環境の整備は、患者さんのQOL向上のみならず、多様な人材が活躍できる共生社会の実現にもつながる重要な政策です。






