指定難病「免疫性血小板減少症(ITP)」に対して、2026年6月19日に新たな内服薬「ウェイリズ錠」(一般名:リルザブルチニブ)が国内で製造販売承認を取得しました。 既存治療で十分な効果が得られない成人患者さんが対象で、血小板を減らす免疫異常に多面的に働きかける新しいタイプの治療薬です。 医療情報メディア「メディカルドック」が、サノフィ主催のプレスセミナーをもとに、ITPの現状と新薬の意義を解説する記事を2026年9月3日に公開しています。

💡 用語解説:「免疫性血小板減少症(ITP)」とは?
血液中の血小板が免疫の異常なはたらきによって減ってしまう指定難病です。 以前は「特発性血小板減少性紫斑病」という名称でしたが、免疫の関与が明らかになってきたことから、日本でも2025年4月に現在の名称へ変更されました。 血小板が減ると止血の最初の段階がうまくいかなくなり、あざができやすい・鼻血が止まりにくい・歯みがきで出血しやすいなどの症状が現れます。 重症化すると脳出血など命に関わる出血リスクも高まります。

💡 用語解説:「BTK阻害薬」とは?
「ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)」という、免疫細胞のシグナル伝達に関わるタンパク質の働きを抑える薬です。 これまで血液がんの治療薬として広く使われてきましたが、今回ITPにも応用されました。 ITPに対してBTKを抑えることで、①自己抗体の産生を減らす②血小板が免疫細胞に食べられるのを抑える③炎症反応を抑えるという3方向の働きが期待されています。

血小板数だけでなく「QOL」への注目が高まる背景

ITPの治療はこれまで、血小板数を増やして出血リスクを下げることが主な目標とされてきました。 しかし世界13カ国のITP患者1,507人が参加した国際調査「I-WISh」では、治療によって出血症状は改善する一方、倦怠感・不安・うつ症状は改善していなかったことが明らかになっています。 大阪大学の加藤恒教授(病院教授)はセミナーで「患者さんは血小板数や出血では捉えられない悩みを抱えている」と指摘しています。

このQOL低下の背景として、ITPに伴う慢性的な炎症が注目されています。 炎症で放出されるサイトカインという物質が倦怠感を引き起こすことが知られており、血小板数が改善した後もだるさが残る一因として考えられています。 今回承認された新薬ウェイリズ錠は、こうした炎症反応も抑えることが期待されており、血小板数の改善にとどまらないQOL向上への貢献が注目されています。

ITPの現在の治療と新薬の位置づけ

ITPの一次治療は副腎皮質ステロイドの内服で、約8割の患者さんに効果が見られます。 ただし長期使用では感染症リスクや骨粗しょう症などの副作用があり、ステロイドを中止できる方は10〜25%程度にとどまります。 二次治療では、TPO受容体作動薬・抗体薬・脾臓摘出・Syk阻害薬・FcRn阻害薬など複数の選択肢が使えますが、どれをいつ選ぶかの明確な基準はまだ確立されていません。

今回承認されたウェイリズ錠は、既存治療で十分な効果が得られない成人の持続性・慢性ITP患者さんを対象とした内服薬です。 大阪大学の加藤教授は、血液内科ではBTK阻害薬の使用経験が豊富であることから、TPO受容体作動薬の次に選ばれやすい薬になるのではないかとの見方を示しています。 なお本薬剤はドラッグラグを回避できた薬剤として注目されており、海外の国際共同第3相試験(LUNA 3試験)に日本も参加し、承認につながりました。

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※ 本記事はサノフィ主催のプレスセミナーをもとにしたメディカルドックの解説記事を要約・紹介したものです。
※ 治療の適応・用法・用量などの詳細は、必ず主治医または専門医療機関にご相談ください。

引用・参照元

※ 当記事は上記を参照し、難病ネットワークインフォメーション編集部が要約・解説したものです。

※ 最終確認:2026年9月

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