JCRファーマ株式会社とメディパルホールディングスは、世界で500〜1,000人しかいないとされる超希少疾患「ムコ多糖症IIIB型(サンフィリッポ症候群B型)」を対象としたグローバル臨床第I/II相試験において、第1例目の患者さんへの初回投与が行われたと発表しました。 JCR独自の血液脳関門通過技術「J-Brain Cargo®」を活用した開発品「JR-446」は、現在承認された治療薬が存在しないMPS IIIB患者さんに対する、世界初の治療薬候補として期待されています。 米国・欧州・日本でオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の指定も受けており、日本でも並行して臨床試験が進められています。

💡 用語解説:「ムコ多糖症IIIB型(サンフィリッポ症候群B型)」とは?
NAGLU遺伝子の異常によって、細胞の分解工場「ライソゾーム」内でヘパラン硫酸という物質が分解されず、特に脳(中枢神経系)に蓄積する遺伝性疾患です。 睡眠障害・言語の消失・行動の変化など神経症状が急速に進行し、患者さんとご家族の生活の質に深刻な影響を与えます。 世界の患者数は500〜1,000人と推定される超希少疾患で、これまで承認された治療薬は世界に存在していません。

💡 用語解説:「血液脳関門」と「J-Brain Cargo®」とは?
脳は有害な物質が入り込まないよう、血液と脳の間に「血液脳関門」という厳重なバリアがあります。 このバリアは薬も通しにくいため、脳に届く治療薬の開発は非常に難しいとされています。 JCRファーマが独自に開発した「J-Brain Cargo®」技術は、このバリアを通過してバイオ医薬品を脳に送り届けることを可能にした革新的な技術です。 この技術を使ったムコ多糖症II型(MPS II)の治療薬「イズカーゴ®」はすでに日本とアラブ首長国連邦で承認されており、MPS IIIBの治療薬「JR-446」はその応用です。

今回の臨床試験の概要

今回開始されたグローバル臨床第I/II相試験は、6歳未満のMPS IIIB患者さんを対象に、JR-446の安全性・忍容性および予備的な有効性を評価する多施設共同の非盲検試験です。 治験責任医師はカリフォルニア大学サンフランシスコ校のIrene Chang准教授が務めており、試験の詳細はclinicaltrials.gov(NCT07640984)で公開されています。 日本では両社の共同開発契約のもと、別途国内臨床第I/II相試験(JR-446-101)も実施中です。

JCRとメディパルは2023年9月に実施許諾契約を締結しており、メディパルが日本を除く全世界での事業化権を保有し、JCRが治験依頼者として開発を主導しています。 非臨床試験ではすでにMPS IIIBに関連する症状への効果が確認されており、今回の初投与はMPS IIIBコミュニティにとって重要なマイルストーンとなっています。

超希少疾患の研究開発が抱える課題と意義

MPS IIIBのように患者数が数百人規模の超希少疾患では、製薬企業にとって採算が見込みにくく、治療薬の開発が進みにくいという構造的な課題があります。 今回JR-446が米国・欧州・日本でオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の指定を受けていることは、各国が開発を後押しする制度的な支援を得た証でもあります。 治療薬が存在しないMPS IIIBの患者さんとご家族にとって、今回のグローバル試験の開始は、承認への道のりの第一歩として大きな意味を持ちます。

※ 本試験は第I/II相試験(安全性・予備的有効性の評価)の段階です。承認・発売の時期は現時点では未定であり、試験結果によって今後の開発方針が決まります。

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※ 本記事は製薬企業のプレスリリースをもとにしています。治療に関するご相談は、必ず主治医・専門医療機関にご相談ください。

引用・参照元

※ 当記事は上記を参照し、難病ネットワークインフォメーション編集部が要約・解説したものです。

※ 最終確認:2026年9月

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