世界の人々の健康を守るための国際的な活動を主導する国連の専門機関がWHO(World Health Organization:世界保健機関)です。「すべての人々が可能な最高水準の健康を享受すること」を目標に掲げ、194の加盟国と連携しながら世界150か所以上で活動しています。難病・希少疾患の分野では、国際疾病分類(ICD-11)による疾患の標準化など、患者さんを取り巻く医療基盤の整備にも重要な役割を果たしています。

基本情報

機関名世界保健機関(World Health Organization / WHO)
種別国連専門機関
本部スイス・ジュネーブ
設立1948年4月7日
加盟国194か国
公式サイトhttps://www.who.int/

💡 用語解説:国連専門機関とは?
国連専門機関とは、国際連合(国連)と協定を結び、特定の分野で国際的な活動を担う独立した機関のことです。WHOは保健・医療の分野を担当する専門機関であり、世界各国の保健政策の調整・国際的な基準づくり・感染症対策などを主導しています。

WHOとはどんな機関?

WHOは国際保健政策の策定・調整において中心的な役割を担い、感染症対策、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進、医薬品・ワクチンの標準化、保健データの国際分類など、幅広い分野でグローバルな基準を設けています。

設立の経緯

1945年の国連創設会議(サンフランシスコ)において、ブラジルと中国の代表が国際保健機関の設立を提案しました。1946年7月22日にニューヨークで開催された国際保健会議でWHO憲章が署名され、1948年4月7日に発効しました。現在この日は「世界保健デー(World Health Day)」として毎年記念されています。

難病・希少疾患に関するWHOの役割

1. 国際疾病分類(ICD-11)による希少疾患の可視化

WHOが管理する「国際疾病分類 第11版(ICD-11)」は、2019年に世界保健総会で採択され、2022年1月1日に正式発効しました。

ICD-11では約5,500件の希少疾患とその同義語が収載されています。Orphanet(希少疾患・希少疾患用医薬品に関する欧州データベース)との連携のもと、各希少疾患の国際的なコード体系との整合性が図られています。

希少疾患の分類は「WHO Collaborative Global Network 4 Rare Diseases」との連携のもと定期的に更新されており、各疾患にはユニバーサル識別子(URI)が付与されます。これにより、各国の医療情報システムにおける希少疾患の記録・報告・モニタリングの標準化が進んでいます。

2. 希少疾患グローバル行動計画

WHOは、希少疾患を「公平性と包括性のためのグローバル保健上の優先課題」と位置づけています。各国政府に対し、ICD-11やOrphanet nomenclatureなどの相互運用可能なコード体系の導入を推奨し、希少疾患の国際的な情報基盤の整備を主導しています。

3. 「顧みられない熱帯病(NTD)」への対応

WHOは、主に熱帯地域の貧困層に影響を与える20の「顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases / NTD)」への対策も主導しています。2021〜2030年のNTDロードマップでは、2030年までに100か国でのNTD制圧を目標としています。

2026年時点で58か国が少なくとも1つのNTDを制圧しており、介入を必要とする人の数は2010年比で36%減少しています。一方で、政府開発援助(ODA)の削減(2018〜2023年の間に41%減)が進行の脅威となっています。

WHOの主要な活動分野

WHOの活動は「トリプル・ビリオン目標(Triple Billion targets)」を柱としており、以下の3つを目指しています。10億人のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)(すべての人が質の高い保健サービスを経済的な困難なく受けられる社会の実現)、10億人の健康と安全の保護(世界的な保健緊急事態への対応強化)、10億人のより健康な生活(生涯を通じた健康促進)の3項目です。

難病・希少疾患の文脈では、UHCの推進が患者の医療アクセス改善に直結し、ICD-11による疾患分類の標準化が診断・研究・政策の基盤を支えています。

ガバナンス

WHOのガバナンスの最高意思決定機関は「世界保健総会(World Health Assembly / WHA)」で、加盟国全代表団が参加します。日常的な業務は「執行理事会(Executive Board)」が担います。WHOの活動は1948年制定のWHO憲章に基づき、「健康への権利」と「公平性・誠実性・包括性」を基本原則としています。

日本との関係
日本はWHO加盟国であり、WHOへの拠出や国際基準策定への参加を通じて国際保健政策に貢献しています。また、神戸市にはWHO健康開発総合研究センター(WHO神戸センター)が設置されており、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジや高齢化・災害・健康危機管理に関する研究拠点として機能しています。

引用・参照元

※ 最終確認:2026年6月

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