世界中の患者さんのゲノム変異(染色体の微細な欠失・重複など)と疾患表現型(症状)のデータを集め、臨床医や研究者が参照・比較できるデータベースがDECIPHER(DatabasE of Chromosomal Imbalance and Phenotype in Humans using Ensembl Resources)です。英国ウェルカムサンガー研究所(現EMBL-EBI)が開発し、世界の医療機関が参加するオープンデータ基盤として運営されています。

基本情報

正式名称DatabasE of Chromosomal Imbalance and Phenotype in Humans using Ensembl Resources(DECIPHER)
運営機関EMBL-EBI(欧州バイオインフォマティクス研究所)
本部所在地ヒンクストン、ケンブリッジシャー州、英国
主な対象染色体変異・コピー数変異(CNV)・希少遺伝性疾患の患者データ
公式サイトhttps://www.deciphergenomics.org/

💡 用語解説:コピー数変異(CNV)とは?
染色体のある領域が通常より多くコピーされる(重複)、または少なくなる(欠失)ゲノム変異のことです。「微細欠失症候群」や「微細重複症候群」と呼ばれる希少疾患の多くはCNVが原因です。染色体検査・マイクロアレイ検査・全ゲノム解析などで検出されますが、変異の臨床的意義(疾患との関連性)の判断には世界規模でのデータ比較が必要なため、DECIPHERのような国際データベースが重要です。

DECIPHERとはどんなシステム?

DECIPHERの目的は、「希少な染色体・ゲノム変異を持つ患者さんのデータを安全に共有し、臨床的意義の解釈を世界規模で支援すること」です。世界中の臨床遺伝学者が自施設の患者データをDECIPHERに登録することで、似た変異を持つ世界中の患者さんのデータを参照・比較し、診断の確度を高めることができます。

主な機能

1. 症例・変異の検索

症状(HPO用語)・遺伝子名・染色体位置・変異タイプなど様々な条件で、登録された患者症例や変異データを検索・閲覧できます。自施設の患者と世界のデータを比較することで、稀な変異の臨床的意義(病的か良性かなど)の判断の参考になります。

2. ゲノムブラウザ

染色体上の位置を視覚的に確認できるゲノムブラウザ機能を備えており、変異が位置する遺伝子・調節領域・既知の症候群領域などを直感的に確認できます。

3. CNV症候群情報

既知の微細欠失・重複症候群(22q11.2欠失症候群・15q11-q13欠失症候群など)の臨床情報をまとめたページを提供しており、これらの希少疾患の診断根拠の確認に使えます。

4. 英国DDD(Deciphering Developmental Disorders)プロジェクト

英国全土で実施された発達障害・希少疾患の大規模ゲノム解析プロジェクト「DDD」のデータがDECIPHERに統合されており、特に小児希少疾患の診断に関する豊富なデータが含まれています。

引用・参照元

※ 最終確認:2026年6月

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