医誠会国際総合病院が2025年12月3日、難病医療推進センターにおける希少難病への取り組みを伝える動画シリーズ第1回「ゲノムと難病とは?」を公開しました。難病は"希少"に思える病気ですが、実は7000種類以上存在し、誰にでも起こりうる身近な問題であることを、小児科・難病医療推進センターの成田綾医師がわかりやすく解説しています。
ゲノムとは体の設計図
動画では、まずゲノムが生き物の体の設計図に例えられることから説明が始まります。この設計図には私たち1人1人の体質や病気へのかかりやすさといった個性が書き込まれています。この膨大な設計図は人の体にある約37兆個の細胞、その1つ1つにコンパクトに収納されています。このゲノム情報を活用して1人1人の違いにあった医療を提供するゲノム医療が注目されています。
難病発症の仕組みとゲノム変異
ゲノムと難病の関わりについて、設計図に書き間違いのような変化が起こることがあり、これを変異と呼びます。この変異によって体質が変化して病気を引き起こすと考えられており、難病はその約8割がこのゲノムの変異が原因で起こると考えられています。
難病が発症する仕組みは次のように説明されています。まず遺伝子に変異が起こるとそれを元に作られるタンパク質の形や働きが変わってしまいます。この変化したタンパク質が細胞の正常な働きを邪魔し、細胞レベルの異常が起こります。この異常が積み重なることでやがて組織や臓器がうまく機能しなくなり、難病を発症することになります。
難病の3つの特徴
難病は現在約7000種類あると言われており、いくつか共通する特徴があります。1つ目は同じ病気の人がとても少ないことです。日本ではその中でも特に患者さんの数が少ないものを指定難病とし、公的な支援の対象としています。
2つ目はゲノムの変異が原因であることは分かっていても、どうしてその病気になってしまうのかまだよく分かっていないことです。3つ目は病気をすっかり治すのがとても難しいことです。ただし、すっかり治すのが難しいというのは治療法が全くないという意味ではありません。病気の進行をゆっくりにする治療法は日々開発されており、辛い症状を軽くする治療法も多くの難病であります。
ゲノム医療と世界希少難治性疾患の日
医療の最前線ではゲノム情報を詳しく調べることでこれまで診断が難しかった病気の原因を突き止めています。さらに新しい治療法の開発に向けた研究も精力的に進められています。
希少難病への理解を広めるための世界的な取り組みが、毎年2月の最終日に行われる世界希少難治性疾患の日(Rare Disease Day、略してRDD)です。医誠会国際総合病院難病医療推進センターもこのRDDの活動に積極的に参加しています。院内の多くの診療科が連携し、様々な難病の患者さんに総合的な医療を提供しており、今後はゲノム医療との連携をさらに深め、在宅医療なども視野に入れ、患者さん1人1人により深く寄り添った医療を展開していきたいと考えています。











