厚生労働省が9月16日に開催した検討会で発表した調査結果により、全国の住宅型有料老人ホームのうち約3割が中重度の要介護者・難病患者を中心に受け入れていることが明らかになりました。この結果は、難病患者さんとそのご家族にとって住まい選択の重要な参考情報となりそうです。
全国2万件を調査・64%が要介護者を受け入れ
調査概要
調査対象:住宅型有料老人ホームと有料老人ホームに該当するサービス付き高齢者向け住宅全国1万9954件
受け入れ状況の詳細
- 「中重度・難病者を中心に受け入れている」:29.9%
- 「要介護者・要支援者を幅広く受け入れている」:34.1%
- 要介護者受け入れ施設の合計:64.0%
一方で、軽度者中心の施設については以下の結果となりました:
- 「自立・軽度者を中心に、要介護者も受け入れている」:34.4%
- 「自立・軽度者のみ受け入れている」:1.6%
9月16日検討会で方向性を議論
この調査結果は、令和7年9月16日(火)11:00~13:00に開催された「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会(第5回)」で報告されました。
検討会の議題
- これまでの議論の整理を踏まえた検討の方向性について
- その他
サービスの質確保が重要課題
住宅型有料老人ホームでの重度者受け入れが広がる中、厚労省の検討会では以下の点が大きな論点となっています。
質の確保・安全性の課題
- サービスの質の確保
- 安全性の担保
- 必要な人員体制の整備
- 研修のあり方
運営体制の透明性向上
併設・隣接の介護サービス事業所と一体的に運営するビジネスモデルの透明性・健全性をどう高めるかも重要な課題として位置づけられています。
今秋に施策の方向性を決定予定
厚労省がどこまで踏み込んだ施策を講じるかが焦点となっており、検討会は今秋にも施策の方向性を固める予定です。
この方向性決定により、難病患者さんやそのご家族が安心して利用できる住宅型有料老人ホームの基準やガイドラインがより明確になることが期待されます。
難病患者・家族にとっての意義
選択肢の多様化
約3割の施設が難病者を中心に受け入れているという結果は、これまで受け入れ先を見つけるのに苦労していた難病患者さんやそのご家族にとって心強い情報となります。
質の向上への期待
一方で、厚労省が質の確保や安全性について検討を進めていることは、より安心して利用できるサービス環境の整備につながることが期待されます。
今後の注目ポイント
検討会での議論を経て策定される新たな基準やガイドラインが、実際のサービス向上や利用者保護にどの程度寄与するかが重要な注目点となりそうです。
難病を抱えながら住まいを探している患者さんやそのご家族にとって、この調査結果は選択肢があることを示す希望的な情報である一方、質の確保という課題も浮き彫りになりました。今秋の施策方向性決定を待ちながら、各施設の詳細な情報収集と慎重な選択が重要になりそうです。