武田薬品工業株式会社は、皮下注用人免疫グロブリン製剤「ハイキュービア® 10% 皮下注セット」について、新たに2つの希少な神経難病に対する効能・効果の追加承認を厚生労働省から取得したと発表しました。この承認により、治療の投与頻度が3〜4週間に1回となり、患者さんの負担を大幅に軽減することが期待されています。
対象となる希少な神経難病
今回、新たに適応が追加されたのは以下の2つの疾患です。
- 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP): 自身の免疫系が手足につながる末梢神経を攻撃してしまう自己免疫疾患です。進行性の手足の脱力やしびれ、感覚の消失などが主な症状で、歩行困難に至ることもあります。日本の有病率は10万人あたり3.3人と推定される希少疾患です。
- 多巣性運動ニューロパチー(MMN): CIDPと同じく末梢神経が障害される病気ですが、左右非対称の運動障害が主で、感覚の障害は軽いか、ほとんどないのが特徴です。日本の有病率は10万人あたり0.3人と、さらに希少な疾患です。
患者さんの負担を大きく減らす「ハイキュービア」の革新性
この治療薬の最大の利点は、投与頻度を大幅に減らせる点にあります。
独自の技術で大量投与を実現
「ハイキュービア」は、人免疫グロブリン製剤と、ボルヒアルロニダーゼ アルファという酵素製剤を組み合わせた日本初かつ唯一の薬剤です。
- まず、酵素製剤を皮下に投与します。
- この酵素が皮下組織の透過性を一時的に高め、薬の通り道を作ります。
- その後、同じ部位に免疫グロブリン製剤を投与することで、一度投与することが可能になります。
この技術により、従来の皮下注製剤よりも少ない回数での治療が実現しました。
患者さんにとっての具体的なメリット
- 通院負担の軽減: 投与頻度が3週間または4週間に1回となるため、通院の回数が減ります。
- 治療の簡便化: 静脈路を確保する必要がない皮下注射のため、治療に伴う身体的・心理的ストレスが軽減されます。
- 生活の質の向上: 治療に縛られる時間が減り、患者さんの日常生活の自由度が高まることが期待されます。
承認の背景と今後の展望
今回の追加承認は、日本人患者を対象とした国内第3相臨床試験および海外での臨床試験で、有効性と安全性が確認されたことに基づいています。ハイキュービアはすでに世界45カ国以上で承認されており、その実績も豊富です。
武田薬品は、「投与頻度が3週または4週間隔となり、CIDP/MMN患者さんの負担軽減が期待できる本剤を日本の患者さんにお届けできることを誇りに思っています」とコメントしており、この新しい治療選択肢が、希少な難病と闘う多くの患者さんの希望となることが期待されます。
ソースURL: https://www.takeda.com/jp/newsroom/local-newsreleases/2025/hyqvia-additional-approval/