指定難病「オスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症:HHT)」の患者さんが重症鼻出血の自己処置に使用してきた止血材「サージセル」について、2026年9月1日から在宅での使用が特定保険医療材料として保険適用されることになりました。 この実現の背景には、日本オスラー病患者会が集めた2万人を超える緊急署名と、一般社団法人日本循環器協会との協働による厚生労働省への働きかけがあります。 患者団体と医療者団体が手を取り合い、制度の壁を乗り越えた象徴的な成果として注目されます。

💡 用語解説:「オスラー病(HHT)」とは?
全身の血管に動静脈奇形(本来つながっていない動脈と静脈が直接つながってしまう異常)が生じる遺伝性の指定難病(指定難病227)です。 国内の推定患者数は約1万人とされていますが、診断率は1割以下にとどまっており、多くの患者さんが未診断のまま過ごしていると考えられています。 最も多い症状が「繰り返す重症鼻出血」で、鼻腔内に多発する脆い毛細血管から出血が起こります。一般的な鼻血の処置(電気焼灼・ガーゼパッキング等)を行うと、毛細血管がかえって損傷して大量出血につながる危険があります。

💡 用語解説:「特定保険医療材料」とは?
健康保険が適用される医療材料のうち、価格が個別に定められているものをいいます。 今回の「サージセル」は、医師の指示のもとに患者自身が在宅で使用できる材料として保険適用の対象が拡大されました。 これにより、外来で処方を受けて入手し、自宅で使用するための費用が保険でカバーされるようになります。

なぜ「制度の壁」が生じたのか

もともと患者さんは医師の指導のもと、自宅での鼻出血の自己処置に「サージセル」を使用していました。 しかし制度上の区分変更により「手術材料」に分類されたことで、外来での処方や自宅での入手が困難になりました。

その結果、自宅で止血できなくなった患者さんが救急搬送を繰り返したり、搬送先で一般的な鼻血処置を受けてかえって大量出血や鼻中隔穿孔に至るなど、深刻な被害が相次ぎました。 これを受けて日本オスラー病患者会が2万人を超える緊急署名活動と行政への働きかけを展開しました。

患者会と医療者団体の協働が制度を動かした

患者会・村上匡寛代表理事からの訴えを受け、日本循環器協会の小室一成代表理事が村上代表理事に同行して厚生労働省を直接訪問・面談を実施しました。 協会として医療的妥当性と患者さんの置かれた実情を説明し、厚生労働省・製造販売企業・関係学会との継続的な協議を後押しした結果、医療機器としての効能追加承認と中医協での審議を経て、今回の保険適用拡大が実現しました。

村上代表理事は「患者と医療者が手を取り合い訴え続けることで制度を変えられることを証明できた」とコメントしており、希少難病の制度改善においてアドボカシー(権利擁護活動)の力が発揮された好事例となっています。

オスラー病の患者さん・ご家族へ

サージセルの在宅保険適用についての詳細な使用方法・処方の受け方については、主治医または専門医にご相談ください。 またオスラー病は診断率が低く、「繰り返す重症鼻出血」「家族に同様の症状がある」といった方はオスラー病の可能性があります。 日本オスラー病患者会では情報提供や専門医への相談サポートを行っていますので、一人で悩まずにご連絡ください。

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※ サージセルの処方・使用については、必ず主治医の指示に従ってください。

引用・参照元

※ 当記事は上記を参照し、難病ネットワークインフォメーション編集部が要約・解説したものです。

※ 最終確認:2026年9月

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