若年層での発症が多い炎症性腸疾患(IBD)への理解を広げるための北陸地方初となる啓発イベントが、2025年5月17日、18日の両日、金沢駅西広場で開催されました。このイベントは「世界IBDの日」(5月19日)に合わせて一般社団法人「健康へとつづくみち」(金沢市)が企画したものです。
IBDとは
IBDは潰瘍性大腸炎やクローン病など腸に慢性的な炎症が起こる疾患群で、指定難病に指定されています。長期間にわたり下痢や腹痛、血便などの症状が繰り返され、日常生活に大きな支障が出ることが多く、就学や就労において特別な支援が必要となることがあります。
イベント内容
イベントでは当事者や医師らが、IBD患者が暮らしやすい環境整備について話し合いました。夜には金沢駅の鼓門をIBDのシンボルカラーである紫色にライトアップする取り組みも行われました。
患者会「いしかわIBD結の会」の林晃一郎さん(50)はパネルディスカッションで「仕事中のトイレ確保が課題。長い時間出てこられない場合もあり、トイレの数や温水洗浄便座機能があるかも大事になってくる」と話しました。
医師からの訴え
同法人理事長の松田耕一郎医師(54)は、担当した患者がトイレを和式から洋式に変えるよう会社側に希望したがかなわず退職した事例を紹介。「IBDは外見からでは分からない。少しの配慮で生活がしやすくなる」と強調し、職場環境の改善の必要性を訴えました。
主治医が企業の産業医に意見書を出し、勤務上必要な配慮を受けられる仕組みはあるものの、「すごくいい制度だが、全然使われていない」と制度の活用不足も指摘されました。
今回のイベントは、北陸地方で初めて開催されたIBDに関する啓発イベントとして、当事者や関係者から高い評価を受けています。
ソースURL: https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/chuplus/region/chuplus-1069538?fm=latestnews