山口大学やアステラス製薬などの共同研究グループは、国の指定難病である「視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)」において、脳のバリア機能を壊す新しい自己抗体「TRIM21抗体」を発見したと発表しました。この発見により、患者さんごとに異なる病気のタイプを特定し、数ある治療薬の中から最適な薬を選ぶ「オーダーメイド医療」の実現に近づくことになります。さらに、これまで謎とされていた膠原病の合併による重症化のメカニズムも科学的に証明されました。
💡 用語解説:視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)とは?
本来は体を守るはずの免疫系が暴走し、自身の視神経や脊髄、脳などを誤って攻撃してしまう自己免疫疾患です。視力障害や手足の麻痺、しびれなどの強い症状を伴う再発を繰り返しやすいのが特徴で、国の指定難病に指定されています。
新たな原因「TRIM21抗体」が脳のバリアを破壊する仕組み
NMOSDの主要な原因としては「AQP4抗体」という自己抗体が知られていましたが、この抗体がどのようにして脳の強固な防御壁(血液脳関門)を突破し、中枢神経に侵入して強い炎症を引き起こすのかは大きな謎でした。
研究グループは、患者さんの約30%に存在する「TRIM21抗体」が、この脳のバリアを突き破る引き金(原因因子)になっていることを突き止めました。このTRIM21抗体はシェーグレン症候群や全身性エリテマトーデスなどの膠原病でも見られる抗体であり、NMOSDに膠原病が合併すると症状が重症化しやすかった理由も、このバリア破壊メカニズムによって説明がつくようになりました。
患者さん一人ひとりに最適な「オーダーメイド医療」へ
現在、NMOSDの再発予防にはいくつかの強力な最新薬(生物学的製剤)が使われていますが、これまではどの薬がどの患者さんに最も効果的かを見分ける明確な指標がありませんでした。
今回見つかった「TRIM21抗体」の有無を事前に調べることで、患者さんの病態に合わせた科学的根拠に基づく最適な治療薬の選択(個別化医療)が可能になります。これにより、効果的な再発予防が期待できるようになります。
脳へ薬を届ける新しい治療法(創薬)への応用も
今回の発見は、治療薬選びだけでなく、新しい治療技術の開発にもつながります。脳の強固なバリアは、本来必要な治療薬が脳内へ届くのを防いでしまう障害でもありました。しかし、この「TRIM21抗体」の性質を応用して「必要なときだけ安全に脳のバリアを開ける」技術が開発できれば、様々な中枢神経の病気に対して、効果的に薬を届ける画期的なシステム(DDS)の誕生につながると期待されています。
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- 難病NMOSDの新たな原因「TRIM21抗体」を発見 ―脳のバリアを壊すメカニズムを解明し、最適な治療薬選びに道を拓く―(山口大学・2026年6月16日)
引用・参照元
※ 当記事は上記を参照し、難病ネットワークインフォメーション編集部が要約・解説したものです。
※ 最終確認:2026年6月







